皇居三の丸



皇居三の丸




大手門に入城して枡形内から渡櫓門を出て、左に進むと右手に三の丸尚蔵館の白い屋根が見える。その左前方に青い屋根の済寧館、皇宮警察本部、旧枢密院の建物が見える。



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三の丸尚蔵館


昭和天皇の崩御後の平成元年(19896月に、皇室から国庫に寄贈された美術品6,000点を保存、研究、公開するための施設として、平成5年(1993)に三の丸尚蔵館は開館した。その後、秩父宮家、香淳皇后、高松宮家の所蔵品が寄贈され、平成21年(2009)には、9,500点の美術品類を所蔵している。収蔵品には、明治以前から皇室に伝来した美術品のほか、明治宮殿で使用された調度や装飾品、皇室に献上された美術品などが含まれる。これら美術品は入場無料で鑑賞できる。




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尚蔵館所蔵の唐獅子図屏風


唐獅子図屏風は、豊臣秀吉が本能寺の変を聞きつけ、備中高松城攻めで急遽毛利方と締結した講和の際に、毛利輝元に送った障壁画の陣屋屏風と伝えられる。狩野派は、織田信長、豊臣秀吉、徳川将軍家の御用絵師として仕えた。桃山時代の絵師である狩野永徳が、唐獅子図屏風の六曲一双の右隻を描き、左隻は江戸時代に右隻の獅子の図様に合わせて、狩野常信が描いた作品である。明治21年(1888)毛利元徳より尚蔵館に献上された。



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済寧館道場


済寧館道場は、明治16年(1883)明治天皇の命により、山岡鉄舟ら10余名の剣術・槍術の指導者によって開かれた道場である。剣槍術大会や天覧武道大会には、皇族・華族・政府高官が臨席して幾多の名試合が行われた。昭和8年(1933)皇宮警察の武道振興のため、三の丸の現在地に建坪300坪の切妻千鳥破風造りに玉座を設けた道場が建てられた。平成21年(2009)天皇陛下御即位二十周年記念武道大会が開催され、今上天皇、美智子皇后が臨席された。




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皇宮警察本部の白い建物右に、切妻千鳥破風造りの済寧館道場が見える。


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旧枢密院庁舎皇宮警察本部庁舎


明治22年(1888)枢密院は、天皇の最高諮問機関として創設にされた。憲法問題も扱ったため「憲法の番人」とも呼ばれたが、昭和2252日現憲法施行前日に廃止された。枢密院庁舎は、大正10年(1921)国会議事堂建設のための小規模モデルとして、皇居三ノ丸に建てられた。




枢密院廃止後の庁舎は、最高裁や法務省の仮庁舎や皇宮警察本部として使用された。昭和59年(1984)隣接地に皇宮警察本部庁舎が新築されて空き家となった。その後、枢密院庁舎は、大正建築の歴史的建造物の保存改修工事が終えた平成25年(2013)年の春、28年ぶりに皇宮警察本部庁舎として蘇みがえった。



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枢密院本会議


昭和21年(19461029日、修正帝国憲法改正案(日本国憲法案)を全会一致で可決した枢密院本会議最後の模様である。



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内閣文庫庁舎


明治44年(1911)大手門の左手に見える内閣文庫庁舎を竣工した。これまで、紅葉山文庫・昌平坂学問所本・和漢書籍・記録など徳川幕府ゆかりの書籍を中心に保管された。さらに、明治新政府が集めた古文書・洋書などを加えた日本の中世から近代までの貴重な資料を厳重保管していた。内閣文庫は、昭和46年(197110月に竣工した国立公文書館に移転した。昭和59年(1984)三の丸の内閣文庫庁舎は解体して、明治村に移設され、跡地は皇宮警察学校となった。



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明治村に移築された内閣文庫


内閣文庫は、明治の煉瓦造りや石造建築の本格的なルネッサンス様式で正面中央の高さ7m4本の円柱と、その両側に隅角柱が並ぶ荘厳な歴史的建築物である。右下に見えるのが、皇居正門石橋の飾電燈で、明治21年(1888)正門石橋の両側に6基設置されていた。昭和61年(1986)老朽化により鋳型を取って新しく鋳造されたものと交換して、旧型を東御苑二ノ丸や明治村に移設保存している。



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明治村に移築された内閣文庫の遠景


手前に見えるのが天童眼鏡橋、中ほど右に隅田川の新大橋の鉄橋、上部に内閣文庫が見える。


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by watkoi1952 | 2012-11-15 15:29 | 皇居の歴史景観 | Comments(0)